我々日本人は古くから塩で塩分とミネラルを補って生きてきました。現代においては、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、塩の専門店などで気軽にたくさんの種類の塩を手軽に入手できる時代になりました。しかし、実際はその塩の種類毎に製法や身体に及ぼす影響は様々だということはご存知でしょうか?
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海水と人間のからだの関係
人間の体内は、海水と似た成分で構成されていることをご存知でしょうか。
実は、人間の全身に流れる血液から結球を取り除いた成分(血清)と、海水のミネラル構成比率は非常に似ていることがわかっています。ですから、汗や涙についても、海水とほぼ同じということが言えます。
さらに、赤ちゃんをお腹の中で育て、そして守る役割でもある『羊水』の成分についても、やはり海水とよく似ています。
では、どうして人間の体内のミネラルバランスは海と似ているのでしょうか?
こちらに関しては諸説ありますが、すべての生物の源は『海』であるからとも、人間の祖先も海から生まれた生物だった、と云われています。元々は海中で生活していた生物が、陸地で生活をできるようになったのは、体内に海水を持つことができるようになったから、とも言えなくもないと思っています。言い換えると、塩は人体と切っても切れない関係であることがわかります。
では、人の体内はミネラルのバランスがどれほど重要なのでしょうか。
水分補給とミネラルが欠かせない、人のカラダ
人間の体は約60%が水分でできている事は有名ですが、その内訳は40%が細胞内液で、残りの20%が血液やリンパ液などの、細胞以外を満たす細胞外液です。水分や栄養、または老廃物などを細胞内外にスムーズに出し入れできるのも、塩分濃度や塩自体に含まれるミネラルバランス、浸透圧が深く関与しています。
人体と海水(塩分とミネラル)は切っても切れない関係にあるのです。さらに言い換えると、人間の体と海水の塩分濃度は密接な関係にあるので、体内の塩分濃度やミネラルバランスが崩れると人の体は正常に機能しないことになります。
主なミネラルと病気の関係
ミネラル不足により起こる症状
ミネラル名 | 引き起こされる症状 |
---|---|
カルシウム | 歯や骨の疾患、動脈硬化、高血圧、心臓病、感覚異常、アレルギー疾患、皮膚、筋肉痛、白内障、腎疾患など |
リン | 骨軟化症、発育不全、くる病、歯槽膿漏 |
カリウム | 低血圧、腎機能、糖尿病、便秘、腸閉塞など |
ナトリウム | 筋肉低下、肝機能、神経痛、食欲不振など |
マグネシウム | 心臓病、腎機能、疲労感など |
ケイ素 | 動脈硬化、 |
鉄 | 低血圧、貧血、冷え性、動悸、代謝異常など |
亜鉛 | 動脈硬化、前立腺、皮膚炎、生殖機能など |
マンガン | 血糖上昇、中枢神経、動脈硬化、骨の発育など |
銅 | 貧血、心臓疾患、動脈硬化 |
セレニウム | 動脈硬化、心疾患、精力減退、肝機能、癌など |
ゲルマニウム | 老化に伴う疾患 |
ニッケル | 肝機能、腎機能、腸吸収障害、脳卒中など |
コバルト | 貧血、筋力低下、手足のしびれなど |
モリブデン | 不妊、尿酸代謝異常、生育障害など |
クロム | 白内障、動脈硬化、糖代謝障害、生殖機能障害など |
ヨード | 甲状腺機能障害、皮膚疾患など |
リチウム | 躁鬱病 |
バナジウム | 生殖機能低下、糖尿病など |
症状別の不足ミネラル
症状 | 不足ミネラル |
---|---|
手足の筋肉や痛み | カルシウム、鉄、マグネシウム、ナトリウム、銅、リンマンガン、カリウム、セレニウム |
目が弱い | カルシウム、亜鉛、マグネシウム |
皮膚が弱い | 鉄、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、カリウム |
アレルギー疾患 | 亜鉛、カルシウム、セレニウム、マンガン、マグネシウム、カリウム |
胃腸が弱い | 亜鉛、鉄、銅、カルシウム、マグネシウム、リン、ナトリウム、カリウム |
髪の毛の心配 | 亜鉛、銅、マンガン、カルシウム、セレニウム |
癌の心配 | カルシウム、セレニウム、マグネシウム、亜鉛、銅、カリウム |
心臓や高血圧の心配 | 鉄、カルシウム、亜鉛、セレニウム、マグネシウム、カリウム |
糖尿病の心配 | 鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、クロム、セレニウム、カリウム |
精力減退 | 亜鉛、マンガン、銅、セレニウム、カルシウム |
肝機能の心配 | 亜鉛、マンガン、セレニウム、カルシウム |
お塩の製造方式でも考える
お塩の製造方法は、実は複数存在しています。原料とする産地だけでなく、その精製方法についても触れておく必要があります。精製の手法によって、加工後にミネラルが失われている可能性もあります。
ミネラル不足が叫ばれる現代社会で考えたいこと
我々日本人は古くから塩で塩分とミネラルを補って生きてきました。現代においては、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、塩の専門店などで気軽にたくさんの種類の塩を手軽に入手できる時代になりました。しかし、実際はその塩の種類毎に製法や身体に及ぼす影響は様々あることがわかります。
塩の長い歴史背景を見ても分かるように、我々日本人に合う塩を、ご自身やご家族の健康のために選んで頂きたいと思います。